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3 February
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アメリカ子会社の経営体制について

2018.2.3 00:57

本日のブログでは、アメリカ子会社で、どのような経営体制をとれば良いのか、考えてみます。

 

これまで、アメリカで事業展開している様々な業種・規模の日系子会社をみてきましたが、大きく分けると以下の3つがあります。

 

1. 現地アメリカ人が、トップからほぼすべての部門長を占めており、日本本社からは、リエゾン(本社との連絡係)とスタッフレベル。

2. 本社から派遣されアメリカに常駐する日本人が会長・CEOなどのポジションで組織のトップとなっているが、実際のオペレーションは現地アメリカ人経営チームが主導。

3. 本社から派遣された日本人が、組織のトップとして、実質的にもオペレーションを主導。

 

アメリカ子会社の役員会の構成については、2と3の場合は、本社経営陣と現地日本人トップで占めているのがほとんで、1の場合に、現地アメリカ人経営陣が役員会のメンバーにもなっているのが時々見受けられます。

 

ちなみに、昨年来頻繁に報道されている東芝の子会社のウエスティングハウスは、1の体制で、昨年辞職された元東芝会長の志賀氏が、ウエスティングハウスを買収した2006年から2012年の間、東芝本社側のトップとして占めていたポジションが、Chief Coordination Officerというリエゾンでした。面白いことに、この間、東芝側はCFOも出していたということですが、東芝側のCFOポジションはウエスティングハウス内のライン上のポジションではなく、ウエスティングハウス内の財務担当との間のリエゾンの役割だったと聞いています。

 

2の場合は、1とは違い、アメリカ子会社のトップは本社からの日本人で、多くの場合、会社内部のCFOも本社からの赴任者が組織上なっていますが、実際上は、アメリカ人のCOOなどが経営を主導し、人事や財務などの権限もアメリカ人経営陣が実質管理しています。この場合、日本人CEOは、実際上、本社とアメリカ人COOのリエゾン的役割と、アメリカの日系企業を顧客にもつ日本人で構成されたチームの管理の役割が主になっています。

 

3の場合は、他の経営陣の構成によって2つのタイプに分かれます。2の経営体制のCEOだった方が、内部改革に成功し、現地アメリカ人経営陣と強固なチームを形成し、名実ともにリーダーとなったAタイプと、部長以下も本社からの赴任者や現地採用の日本人や日系人でチームを組んでいるBタイプです。Bタイプは、M&Aではなく、ゼロから米国子会社を立ち上げた場合に、多く見られます。あるいはM&Aをした後に、トップも含め経営陣が次々と辞めてしまい、緊急避難的に日本からの赴任者で補充しているという例も時々見受けられます。

 

この3つの体制のうち、どの経営体制が良いのかどうかは、事業戦略と人材によります。例えば、その子会社の顧客の大部分がアメリカにある日系会社の場合は、3のBタイプが良い場合もあります。徐々に米国会社へと販路を広げる中で、現地アメリカ人を徐々に経営陣に加え、着実に組織体制を戦略に合わせて変えている(3B→3A)例もあります。また、アメリカ人経営陣と日本本社の間で良いコミュニケーションが取れ、的確なインセンティブシステムを設定できる会社では、3から1への経営体制変更によって、飛躍的に事業が拡大した例もあります。

 

ただ、どの経営体制でも、コミュニケーションや業務遂行の際の断絶ポイントがあります。会社が順調にいっているときは良いのですが、うまく行かなくなった時に、それぞれの組織の断絶ポイントのため、問題が本社側に伝わらない間に、深刻な経営危機が生じてしまうことがあります(コミュニケーションギャップ)。また、問題を把握した場合には、現地トップが会社全体を巻き込み、変革していかなくてはいけませんが、この巻き込みが断絶ポイントのため上手くできない場合もあります(巻き込みギャップ)。次回のブログではこの点を考えてみます。