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22 January
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PMIにおける赤信号

2019.1.22 04:24

HGMIではこれまで多くの米国におけるクロスボーダーM&A後のPMI活動をサポートしてきましたが、現地で実際にPMIがうまくいっているかどうかは、なかなか日本からはわからない場合が多いです。

以下の3つの信号が出ていたら、PMIプロジェクトを抜本から見直す必要があります。

1. 現地から、PMI活動についての問題点が聞こえてこない。
通常は日本から赴任者を派遣して、現地のPMIを主導させていますが、赴任者との会議でPMIに関する問題点や事件などが、主要議題にならない場合は要注意です。PMI活動は非常に複雑で、関係者の利害や感情が絡み合い、PMIを主導する場合には、その担当者は常に悩み続けているはずです。それにもかからず、PMI活動における問題点が議題に上らない場合は、PMIリーダーとしてのコミュニケーションスキルがないのか、あるいは、すでにPMI活動が失敗していることから問題点がそのリーダーに伝えられないのかのどちらかです。

2. PMIリーダーからの報告が、分析だけになっている。
現地のPMIリーダーは、PMIプロジェクトを、日本の本社と米国の子会社の利益が相反する中で、対立的な議論になりがちな現地の経営陣を感情的に巻き込むことによって実行していく人間力が必要になります。しかしながら、強力な個性を持つ現地経営陣を巻き込むことは、日本のような同質社会で成功してきたエリートにとっては勝手が違いどんどんストレスが溜まる一方、なかなか結果がでないPMIに日本からのプレッシャーも強まってきて、良い逃げ道としてデータ分析の仕事に没頭してしまします。毎回の定期報告が、誰が何をして、どんな統合結果が出たのかという肝心な報告がされずに、すばらしい分析で埋まっている場合は、要注意です。

3. PMIのSense of Urgencyがない。
クロスボーダーM&A後はとても忙しく、やれ連結だ、JSOXだ、監査法人の宿題だと、本来のPMIをなかなか実行できず、また、現地もこれら作業の忙しさがPMIだと勘違いしてしまいます。しかしながら、買収目的のシナジーを生み出すためには、買収直後に一気呵成に現地経営陣を巻き込んで、PMIの重要性を認識させなければなりません。そのためには、今後の統合とシナジー創造のための明確なPMI計画を、現地経営陣を巻き込んで作り上げ・共有することによって、Sense of Urgencyを持たせることが必要です。

米国子会社の経営を安定化させ、グループとのシナジーを発揮させるには、適切なPMIが必要ですが、上記の3つの信号が出ていたら、応援部隊の派遣や現地PMIリーダーの交代などが必要です。

また、現地のPMIリーダーは、現地経営陣の対抗心や自信などの感情や日本とは違ったマネジメント・商慣行・規制などはPMIを阻害するものではなく、シナジーを発揮させる重要な成功要因であることを認識し、それらを日々学習・活用していくという気構えが大切です。